2018/04/24 GMOインターネット―買収防衛策より攻めの策を

 GMOインターネットの熊谷正寿会長兼社長は肝を冷やしただろう。3月に開いた株主総会。議案の1つは株主が提案した買収防衛策の廃止案だったが、GMO経営陣が反対する中で賛成票は45%に達した。GMOは熊谷社長が実質的に4割の株を保有するため、8割近い投資家が「NO」を突きつけた格好だ。

 株主提案は「もの言う株主」である香港の投資ファンド、オアシス・マネジメント・カンパニーが出した。GMO株を1月時点で6%保有している。GMOの株主は海外の機関投資家が全体の3割(2017年12月)を占める。

 海外勢は経営陣の保身につながるとして防衛策には批判的。でも今回はGMO株を保有する国内証券会社の幹部が「防衛策の継続はありえない。当然(株主提案に)賛成した」というように、国内勢にも反対票が広がったとみられる。

 時価総額をみるとGMOは2136億円で、子会社は最も大きいGMOペイメントゲートウェイ(出資比率52%)の3700億円を筆頭に、GMOフィナンシャルホールディングス(同81%)の860億円など合計5100億円に達する。GMOの持ち分だけを合計しても2900億円になることが、GMO経営陣の敵対的買収への危機感につながっている。

 そもそも親子逆転ともいえる現象を招いているのは、GMO経営陣が防衛策継続の理由として掲げるグループ経営の利点を示しきれていないことに理由がある。グループ同士のシナジーに投資家が納得すれば、コングロマリットプレミアムとして中心であるGMOの企業価値は保有するグループ会社の株式価値以上に高まるはずだからだ。

 来年の総会に向けては大株主の力を借りた防衛策よりも、シナジーの実現と市場との対話という攻めの策が有効なのかもしれない。

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