金融の嵐、各国に様々な型 GMOペイメントゲートウェイ(2018/08/24 )

GMOペイメントゲートウェイ副社長兼GMOベンチャーパートナーズファウンディングパートナー 村松竜

 嵐がくる。

 金融の分野にすさまじい変化の波が押し寄せていることは誰でもが感じている。インターネット技術の普及で、世界で数社のネット巨大企業が世界中の通信、広告、小売りといった巨大産業を10年少々でほぼ支配してしまったことを考えれば、キャッシュレス決済を含むフィンテックの衝撃の本質を理解できない金融機関は、新興勢力に取って代わられるかもしれない。

 この数年、欧米や中国で企業価値兆円単位のフィンテック新興企業がごろごろ群生しているのは、未来の変化に賭ける気鋭の投資家達がそれを知っているからに他ならない。

 実際に現場に行き、新興のサービスを使い、関係者と話してみると、嵐にも地域差があり、さまざまな型がある事に気づく。

 まず電子商取引(EC)化率が日本の10年以上先を行く英国型。先日もシンガポールの銀行が発行するVISAデビットカードをかざすと地下鉄の改札が開き驚かされた。VISAというオープンシステムで実現している点がミソで、かざすデビットカードがほぼ100%普及し、現金不可の店舗もロンドン市内に目立ってきた。

 スウェーデン型も注目だ。国民番号に金融情報をひも付けるインフラが伝統的にあり、世界最先端の与信機能を持つ「オンライン後払い」サービスの大手を生み出した。今では、この後払いの仕組みが人工知能(AI)、決済、与信を融合させたフィンテックの代表格となり、カードが普及していない地域で新しい信用経済を創出しながら、世界に広がっている。インドでも政府主導の下に金融情報インフラが進化し、無数のフィンテック新興企業が群生中だ。GMOグループでは、この「後払い」を日本では自社開発して展開、インドネシアでは急成長中の新興企業を資金面・経営面で応援している。

 中国型は外資を遮断しつつ、巨大経済規模を生かし独特のフィンテック巨大企業を生み出している。ベースには強力な個人金融情報基盤がある。

 対して、日本は各国との比較で見れば意外に金融情報の共通基盤が整っていない。インドには、この数年で抜かれてしまった感すらある。日本はどの型を取り入れるべきか。検証材料は世界中にあるが動きは早く、急がなければならない。

 今回、我々のグループとマネーフォワードでグローバルフィンテックに特化した投資ファンドを設立した。大手金融機関にも参加いただき、投資ファンドの枠を超えて、決済、与信、証券、家計簿アプリ、クラウド会計事業等、自分達で運営している事業のノウハウや技術情報を投資先に提供しつつ、最新AIの利用事例など実務の議論をしている。日本と世界のフィンテックのリーダー達の交流装置になる事を願う。

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